柏レイソルは"セーブ・ザ・チルドレン"を支援しています
9月中旬、柏レイソルが公益社団法人セーブ・ザ・チルドレンを通じて行っている「ベトナム山岳地帯における少数民族の子ども達への教育改善事業」の視察のため、支援対象地となっているベトナム北部・ラオカイ省を訪問いたしました。現地へは首都ハノイから陸路で10時間をかけて行き、そこで待っていたのは貧しい状況の中でも笑顔を絶やさない多くの子ども達でした。今回、ラオカイ省のほか二が15年前より支援をしているイェンバイ省の「栄養・保健」事業の視察もおこないましたので、ご報告いたします。
この支援事業は短期間で成果が見えるものではなく、子どもたちの状況改善の為には継続的なサポートが必須になります。この報告をご覧頂き、皆さまに支援のご理解をしていただければ幸いです。
※試合の際にご来場の皆さまよりご協力いただいております募金もこの教育改善事業のみならず、セーブ・ザ・チルドレンが実施するベトナム事業全体に使用されています。
◆支援事業の概要
【概要】
子ども
■小学校に入ってからベトナム語を学ぶにも関わらず、 学校で使用されている教材はベトナム語
■言葉が勉強する上で壁となっている→急成長中のベトナムで語学ができないことは将来のハンディとなる
教員
■ベトナム語を話すキン族、民族語が話せない
■少数民族の子どもに充分な教育ができない
↓↓↓
支援によって
■ベトナム語と民族語ができ、子どもを主体とした教授法が身についている教員を育成
■学習環境を改善し、子どもは充分な教育を受けることができる
◆柏レイソルからの支援金:300万円(ベトナムでは1,500万円相当)
[1]SCハノイの教育事業担当者とラオカイ省の教育局がメインスクールの先生を対象に「子ども主体の教育法」や「第二外国語教育※」の研修を実施。
※第二外国語教育:小学生からベトナム語を学ぶ(日本でいう中学校から英語を学ぶことと同じ)>
[2]研修を受けた教員は更にサテライトの教員に研修内容を伝えていく。
現在は[1]の研修を実施中(一部では[2]もスタート)のため、子どもへの反映はまだ多くはありません。第二外国語を習得の難しさを教員自身が体験できるよう、研修もしばし英語で実施されています。対象地域の子ども達(家族を含め)の多くが国が発行する「貧困証明書」を持っています。
※貧困証明書があると学費、医療費が無料
◆メインスクールを2校訪問(バンセオ地区、ティントゥオン地区)
★メインスクールは町の中心部から比較的アクセスしやすく、建物や電気、校庭には遊具、地面はコンクリートで固められているなど、設備は整っていました。
私たち訪問者を民族の踊りで歓迎してくれました | ||
電子ピアノを使って音楽の授業 | みんなは真面目に一生懸命勉強中 | |
成績優秀なものは壁に掲示されていました | 子ども達はそれぞれ属している部族が違う為、お互いの違いを理解できるよう、教室の壁に貼られている名簿には生徒の名前、誕生日の他に部族が書かれており、各部族の特有の衣服や装飾品も飾られていました |
★学校ではプロジェクターを使用してレイソルの紹介VTRを子ども達や先生に見てもらいました。
「サッカー好きな人はいますか?」たくさんの男の子が手を挙げてくれました | ||
ゴールシーンでは 割れんばかりの歓声が! |
どうすれば黄色いユニフォームを 着られるの?」という質問も |
レイソルから贈ったボールで 雨の中でも早速キックオフ! |
VTRの最後には工藤選手からみんなへのメッセージを流しました。 支援のお礼や選手への手紙をみんなが書いてくれました |
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◆メインスクールを2校訪問(バンセオ地区、ティントゥオン地区)
Vu Thi Hueさん 教員歴14年 キン族 ラオカイ省出身
Q:大変なことは何ですか?
A:ベトナム語がわからない子ども達とコミュニケーションをとるのは難しい。子ども達は貧しく、冬は防寒具が無い子ども達もいるので、先生たちで買い与えている。将来のために教育とベトナム語の習得が重要だと理解している親も多いので、より一層、教育と子ども達の「セカンドマザー」としての責任を感じている。
Q:研修について
A:新しいことを学ぶのは大変なときもあるが、子ども主体の教育方法を勉強できるのは楽しい。これからの成果にも期待したい。 彼女自身がラオカイ省出身であるゆえ、地元の貧しい子ども達の状況改善と将来のために働いていきたいと話してくれました。
◆メインスクールに通う10才の男の子、女の子4人にインタビューしました
4人とも学校に通うこと、勉強することが大好きだと話してくれました。学校以外では、普段、水牛の世話や家の手伝いをして過ごしているそうで、将来の夢は先生、医者、警察官、歌手になりたいと恥ずかしながらもしっかり受け答えをしてくれました。
◆サテライトスクールを2校訪門(バンセオ地区、ティントゥオン地区)
【パンセオ地区】 |
【ティントゥオン地区】 |
学校の設備は町との距離で大きく異なってきます。比較的アクセスが簡単な場所は資材を運びやすいためコンクリートで建てられることもありますが、奥地では竹や板で作られている仮設校舎がほとんどです。
暖房器具や電気設備もなく、とても厳しい状況でした。子どもたちの中には家から片道約7、8kmかけて通っている子もいるそうです。冬や荒天が続く時期は山道を歩くことが危険になるため通学が困難になってしまい一定の教育を受けることができません。
小学校を出ても家庭の事情や、親の教育への理解が少ない場合、セカンダリースクール(中学校)に進めない子どもも少なくありません。外部の人との接触が極端に少ない彼らにとって、私たち訪問者が初めての外国人だったため、最初はどのように接して良いのかわからず戸惑っていました。
教員もまた、厳しい状況で子ども達に勉強を教えています。家から学校に毎日通勤するのは難しい為、平日は学校に隣接している小屋で寝泊りし、休日は町へ帰る生活をしています。また、貧しい子ども達のため、教員が自らのお金を出しあって食事や衣服、防寒具を与えています。
電気がなく教室が薄暗くても、 子ども達は一生懸命 授業を受けていました |
ベトナム語の教材には 広島と長崎の原爆の記述も。 日本人は鶴を折って、 平和を祈るという話にならい 皆で折り鶴を作りました |
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小学校に隣接している、教員が生活する小屋の様子 冬は寒く、夏は衛生面の心配もある |
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子ども達は毎日 この山道を歩いて登校 |
校舎は竹や板で作られている 冬は防寒具を着て授業を受ける |
教員1人が1部屋で 2学年を担当 |
将来の夢を訪ねると 恥ずかしそうにする女の子 |
設備面を見ればメインとサテライトスクールの格差はよくわかりますが、体格や服装からもサテライトの子ども達の貧しさが見受けられます。今回訪問した中で一番山奥で厳しいティントゥオン地区の学校は周辺地域の中では比較的良い方で、もっと条件の悪い学校はたくさんあるそうです。山奥ではまだ民族独自の文化や風習が根強く残っており、親の教育への理解・関心が少なく、まだ子ども達全員が充分な教育を受けることができていません。
◆サテライトスクールの先生にインタビュー
Tu Thi Haiさん キン族
夫と子どもを町に残し、平日は学校に隣接している小屋で寝泊りをしています。
Q:大変なことは何ですか?
A:この学校に赴任した時は民族語が全く分からず、通訳を通して勉強を教えていた。子ども達とコミュニケーションをとることが難しい。
Q:勉強を教えるのは楽しいですか?
A:子どもたちが勉強できる環境はとても厳しく、自分自身も家族を街に残しているのが辛いが、何も知らない子ども達に知識を与えていくことは光栄な事だ。
街育ちの彼女にとってこの状況で仕事をするのは過酷にも関わらず、子どもの教育の重要性を理解し、子どもの未来のためにこれからも頑張りたいと話してくれました。
今回の事業視察により、レイソルが支援をしている教育改善の事業は順調であることから、メインスクールでは早い段階での成果が期待できそうです。一方でサテライトスクールへの伝達はまだ始まったばかりでこれから長期間で観察する必要があります。メイン、サテライト関係なく、教員は貧しい子ども達の教育のみならず、子どもを育てることに責任をもっていました。また厳しい状況でも子ども達の未来にとって教育がいかに重要かを理解し、今後の出席率向上、教育方法の改善に意欲を示していました。
◆イェンバイ省 栄養・保健事業
15年前よりセーブ・ザ・チルドレンは北ベトナムで一番貧しい地域であるイェンバイで妊婦や乳幼児を対象とした栄養・保健の支援事業を行っています。今回、今後の支援方法の参考とするために見学をさせていただきました。
※試合時に来場者の皆さまより頂いている募金はイェンバイの事業でも使用されています
【1】乳幼児のいるお母さんのコミューンを訪問
乳幼児の離乳食の作り方の講習を見学。13ヶ月以下の赤ちゃんのいるお母さん15名を対象にコーディネーターが離乳食の作り方や乳幼児に必要な栄養素をお母さんたちに教えていきます。油やお肉、卵は現金収入の少ない少数民族にとって大変貴重で簡単に買うことができないため、定期的に講習会を実施し、高価な食べ物以外での調理方法を教えています。
5ヶ月の赤ちゃんのいる21歳のお母さんは、子育てに関して全く無知だったが、このコミューンへの参加を通して食事方法や赤ちゃんの健康について知り、今では子育てを楽しんでいると話してくれました。
多くの住宅が高床式 | コミュニティーの様子 | |
支援の食べ物を贈呈 | 月1回の定期検診の様子 |
【2】コミューンヘルスセンター(CHC)、診察先の家を訪問
CHCには医者、助産師、薬剤師、看護士が6人が駐在し、周辺の妊婦や病人のいる民家を訪問し、定期的に健康診断を行っています。CHCができるまでは妊婦が医師(助産師)に診断してもらうことがほとんどなかったため、出生率が悪く、早産や流産、妊婦の死亡率も高かったそうです。近年では事業の成果もでてきており、妊婦や乳幼児のいる母親には定期健診を義務付け、病気などの早期発見ができるようになりました。妊婦や乳幼児のいる母親の他、下痢や肺炎、虫下しの患者もCHCで診察を受け、重症な場合はすぐに町の病院にいけるシステムになっています。この地域では多くの人が貧困証明書を持っています。また、伝統的な風習や文化が根強く残っていることなど条件が厳しく、充分なサポートができていない部分もあるそうです。
多くの住宅が高床式 | 子育ての方法を絵でわかりやすく表示 | 年に100人もの赤ちゃんを 取り上げる助産師 CHCができてから 妊婦のトラブルも少なくなった |
CHCやコミュニティーに通い、元気な赤ちゃんを産み、育てている家庭を訪問。 赤ちゃんはみんな大きくて健康的でした |
15年前にプロジェクトを開始した当初は父親が子育てをする習慣はありませんでしたが、現在では家族全員で子育てをするようになりました。女性は大抵18、19歳で結婚をしますが、家庭の貧しさから女性にも働く能力が必要であるため、若いお母さんが子どもを産んでからも勉強ができるよう、周囲も理解しサポートするようになりました。これもセーブ・ザ・チルドレンが15年という月日をかけてきた事業の成果といえます。15年前、事業が始まった当初に生まれた子ども達があと数年後には親となる年頃になります。これまで実施してきた事業が受け継がれ、今後成果が更に期待できそうです。(以上)
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